大阪メトロの照明

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御堂筋線 淀屋橋駅 大光電機シャンデリア(1982)

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苦心した淀屋橋駅の蛍光灯シャンデリア 2020/8/12 電設業界ニュース

淀屋橋駅は開業当初の写真を見ると、アーチ天井の頭頂部にV型のカバー付きのライン照明が取り付られ、シャンデリアではなかった。その後、昭和27年に蛍光灯化されているが、その当時と思われる写真が大光電機のカタログに掲載されている。V型の天井に、蛍光灯がライン上に並んでいるだけで、デザインを施したというほどのものではなかったようだ。淀屋橋駅の蛍光灯シャンデリアは一番新しい。といっても昭和57年に私と同僚の2人で担当したので、今年で既に三十七年になる。
  

当時、大阪市交通局から、淀屋橋駅と天王寺駅のシャンデリアを提案するように依頼があった。要望は梅田、心斎橋と同様に、直管蛍光灯を使用する事だった。直管蛍光灯を用いながら全くチープ感のないモダンな照明器具として先輩が考案された梅田駅、心斎橋駅を超えるデザインはなかなかできなかったというのが正直な気持ちだ。その頃はちょうどテクノロジー、科学ブームで「鉄腕アトム」や「サンダーバード」を観て育った私たちはやがて来る21世紀に宇宙にはばたくロケットイメージに行きついていた。

  

日本では縁起のいい数字とされている七・五・三をデザインにも取り入れた。蛍光灯7灯を5組の灯具に分け、下面に3灯の非常灯を設けた。数々のスケッチの中からバランスの良い灯具の角度など、模型を作って確認し提案した。灯具の上下をステンレス鏡面仕上げにし、キラリと輝くイメージ。それを支える支柱はドッシリとしたステンレスヘアーライン仕上げ。フランジやパイプはその存在感を消すために天井と同色とした。

  

実際の製作設計に入る頃から、いくつかの問題点が出てきた。最大の問題は灯具上下のステンレス鏡面仕上げ部分の材料が硬くヘラ押し加工で厚みを薄くすれば形状は保てるがきれいな鏡面にならない、希望のアールが出ないという本社工場側の申し出だ。デザイン側にとっても大きな問題で、このアールは譲れない。しかし、最後に本社工場のヘラ職人さんの「任せておけ」の一言があり、何度も挑戦してデザイン通りの形状を生み出していただけた。今も淀屋橋駅でその独創的なフォルムは健在だが、今回のリニューアルプランでどうなるか気になるところだ。中尾晋也)https://jumbo-news.com/19779/

  

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大阪メトロの照明
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この記事へのコメント

  • ナツパパ

    御堂筋線の、この辺りの駅は天井が高くて気持ちいいですよね。
    蛍光灯も特徴的で好きです。
    いかにも大阪に来たなあ、という気分になりますもの。
    変えずにいてほしいです。
    2020年09月21日 12:39
  • gop

    > ナツパパさん
    前から気になっていた御堂筋線各駅の照明器具。
    淀屋橋のそれはロケットイメージだったとは(確かにT.B.三号風)
    2020年09月21日 18:58
  • のり

    お役所の手を離れて民間企業になった大阪の地下鉄。
    「市営」だからこそできることもたくさんあったと思いますが、その限界もあったのでしょう。
    市バス事業とともに民間企業として再出発することに大きな異論はないつもりでした。

    しかし…

    御堂筋線をはじめとする主要駅のリニューアルイメージには愕然としました。

    これはいただけません。
    現在心斎橋駅が工事中でヴォールト天井が完全に封印されています。

    リニューアルにあたっては、先人の遺産を大切にして開業当時の面影を彷彿とさせるものにすべきだったと思います。
    私見ですが、リニューアル後の梅田駅にはその魅力を感じなくなってしまいました。
    はるかに見上げる高い天井の荘厳な雰囲気はどこへ行ってしまったのでしょう。
    淀屋橋はいろんなものを天井からぶら下げるイメージ。
    心斎橋も当初の計画は天井が花柄に…。流石に計画変更で少しはマシになったかもしれませんが、大阪市民の誇りだった「チカテツ」の面影がなくなってしまいます。
    大阪メトロには、こんなものを期待していたのではなかったはずです。

    リニューアルに関しては、開業当時の面影に戻し、先人を讃えるべきだったと心から思っています。


    毒を吐いて申し訳ありません。


    もし、不快に感じられたのでしたら、このコメントは削除してください。
    2020年09月22日 23:19
  • gop

    > のりさん
    心中お察し致します。
    当初のリニューアル案拝見しましたが、あれでは市民の反感を買いますね。

    御堂筋線の構内照明、特に淀屋橋のものは以前から気になっていました。
    蛍光灯を縦に吊り下げた構内照明は他に類を見ないのでは無いでしょうか。

    天井高があるからこそ出来る俊逸なデザイン(今となってはレトロモダン)
    六十年代アニメのロケットイメージである事は今回初めて知りました。
    https://tezukaosamu.net/jp/war/entry/74.html
    https://thunderbirds.fandom.com/wiki/Thunderbird_3

    そう言われると納得(目から鱗)梅田駅のそれは保存もされなかった様で、
    これもリニューアルでどうなってしまうのか。名古屋人の私でも心配です。

    で、この記事をアップしたら当時の関係者からDMを頂きました(知人)
    折角なので何か語って頂ければと^^
    2020年09月23日 12:27
  • gop

    > イワンのばか
    鉄腕アトム、カッパコミクスで読んだのは小学校の低学年。
    トルストイの民話を知ったのは随分後の事だった。
    2020年09月23日 21:09
  • のり

    連コメ失礼いたします。

    鉄腕アトムのこの回、なぜかテレビ放映をとてもよく覚えています。

    「アトム・月」というキーワードだけで「ミーニャ・ミハイロヴナ」という名前が出てくるほどです。
    おそらく後年の再放送での記憶だと思いますが…
    彼女の死後も主人を守り続けたロボットがとてもいじらしかった。
    2020年09月24日 07:02
  • gop

    > のりさん
    はい、子供心にも印象に残る回でした(ある意味トラウマ)
    原題は「月の裏の秘密」で、後にイワン・・に改題された様です。
    アニメは1980年のカラー版でもリメイクされていますね。
    http://s.mxtv.jp/anime/atom/episode.php?ep_id=7915_21
    2020年09月24日 12:17